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ジョージ・フロイド殺害事件/全米騒動へ発展した3つの目的

ジョージ・フロイド殺害事件/全米騒動へ発展した3つの目的

5月25日、米ミネソタ州ミネアポリスで黒人男性ジョージ・フロイト氏(46)が、白人警官4人に拘束された後、暴行を受けて殺害された。
白人警官の一人デレク・ショビンは、8分46秒の間膝を首に押し付けて窒息死させたとして第3級殺人及び第2級過失致死容疑で逮捕、他の警官3人は解雇処分となった。
事件の模様は、周囲にいた一般市民によって撮影された動画がSNSに投稿され拡散している。
この事件を契機に、全米各地で抗議デモが起こり、さらにデモに便乗した略奪行為や破壊活動へ波及、暴動騒ぎは75都市へ拡大している。
デレク・チョービンは、50万ドルの保釈金を支払って保釈される見通しと伝わっている。

6月3日米CNNの報道によると、ミネソタ州検事総長は、逮捕された元警官に対してより罪の重い第2級殺人容疑を適用するとともに、現場にいた残る3人の警官についても第2級殺人のほう助・教唆容疑で訴追したと発表した。
フロイド氏を取り押さえる手助けをした元警官のトーマス・レーン(37)、J・アレクサンダー・クーン(26)、トウ・タオ(34)の3容疑者は、第2級殺人のほう助・教唆容疑で3日に拘束された。
第2級殺人と、第2級殺人ほう助・教唆で起訴されて有罪になれば、40年以下の禁錮を言い渡される可能性がある。
過失致死および過失致死ほう助・教唆の法定刑は禁錮10年以下。
フロイド氏の遺族は弁護士を通じて談話を発表し、事件にかかわった警官4人全員が逮捕・訴追され、チョービン容疑者に第2級殺人容疑が適用されたことを評価した。
しかし、チョービン容疑者については、故意を認定する第1級殺人罪に問われるべきだと訴えている。

■ジョージ・フロイド

テキサス州ヒューストン出身の46歳、高校時代にはアメリカンフットッボールやバスケットボールの選手として活躍していた。
Big Floydのラッパーとして活動、DJ Screwの楽曲にも参加していた。
数年前にミネソタ州ミネアポリスへ移り、警備員として働いていたが、コロナ騒動で職を失っていた。
事件の加害者デレク・チョービン(44)とは、同じナイトクラブに勤務していたとされる報道がある。

■事件の経緯

5月25日、事件が起こったのはフロイド氏が普段から利用する食品雑貨店Cup Foodsでのこと。
フロイド氏と男性1名、女性1名が来店、同行の男性が会計で20ドル紙幣を渡そうとしたが、店員が偽札と疑って受け取りを拒否した。
3名は一旦店を出たが、その後フロイド氏が再び来店して20ドル紙幣を使ったため、店員が警察に通報。
事件後の取材に応じた店主によれば、フロイド氏が過去にトラブルを起こしたことは一度もなかったと答えている。
フロイド氏は警官に拘束され、チョービン容疑者に8分以上に渡って膝で首を抑え続けられた。
その間、フロイド氏は息ができない、殺さないでと訴えたが、チョービン容疑者は首を抑えるのを止めなかった。
フロイド氏が意識を失った後も首を抑え続けていたため、周囲の人や同行の警察官が制止しようとしたが、その後3分以上もの間首を抑え続けたという。
この様子は周囲の人が撮影した動画がSNSに掲載され拡散されているが、フロイド氏の悲痛な叫びが伝えられている。
フロイド氏は、その後病院に搬送された後に死亡が確認された。
ミネアポリス警察は、アルコールか薬物の影響で警察に抵抗したと主張している。
ミネソタ州検視局の検視結果では、窒息や絞殺を裏付ける身体的所見は見つからなかったとしている。
フロイド氏の遺族による依頼で実施された、元ニューヨーク市の検視局長達による検視報告では、窒息による殺人と結論付けている。
事件に関わった警察官デレク・チョービン(44)、トーマス・レーン(37)、J・アレクサンダー・クーン(26)、トウ・タオ(34)は解雇処分となった。
チョービンは、第3級殺人及び第2級過失致死容疑で逮捕されたが、保釈金50万ドルで保釈される見込みとの報道がある。
この事件を契機に、全米各地で抗議デモが起こり、さらにデモに便乗した略奪行為や破壊活動へ波及、暴動騒ぎは75都市へ拡大している。
6月3日、ミネソタ州検事総長はチョービンに対して、より罪の重い第2級殺人容疑を適用、他3人の警官については第2級殺人のほう助、教唆容疑で訴追したと発表した。
有罪となれば、チョービンは40年以下の禁固刑、他3人は10年以下の禁固刑となる。
6月8日、チョービン容疑者の保釈金が容疑の重さ、世論を考慮して125万ドルへ増額された。
6月7日、バージニア州でデモ活動の集団に車が突っ込む事件、運転していたのは白人至上主義グループKKK(クークラックスクラン)のメンバーと発表された。

■事件後のデモ、暴動

アメリカ建国以来続いてきた人種差別は長い間問題となってきたが、現代においても収束するに至っていない。
特に警察機関によるアフリカ系アメリカ人への過剰な暴力行為は大きな社会問題となっている。
この事件を契機に、全米各地で抗議デモが起こり、さらにデモに便乗した略奪行為や破壊活動へ波及、暴動騒ぎは75都市へ拡大している。
全米各地の騒動の目的は、大きく3つに分類されていて、抗議、略奪、破壊、それぞれどのような特徴があるのか、ネットの情報から探ってみた。
本来、抗議デモを除く略奪、破壊は、抗議デモに便乗した犯罪行為を目的とするものではあるが、結果的には人権侵害に抗議するという効果があるのかも知れない。
一般市民も政府や警察に対して憤りを感じる人々が多く、過激な活動に対して同調しないまでも、ある程度寛容な部分があるのだろう。
事件から4週目、抗議デモは盛んに行われていて収束する見込みが見えないが、略奪や破壊行為はなくなってきている。
逮捕された4人の容疑者に対して厳しい判決がでれば、抗議活動も収束に向かうだろう、しかし無罪にでもなれば大規模暴動に発展しかねない状況だ。
今後は、米国の司法のありかたが問われる裁判の行方に注目が集まる。

◆抗議活動

警察や政府に対する黒人差別への抗議を目的として、警察署前などでプラカードを掲げてデモ活動を行っている。
抗議活動に参加するのは、男女、白人、黒人など様々で、おおむねまともな抗議活動といえるでしょう。
これまで警察官による黒人への暴力行為、不当な裁判などの黒人差別から、警察組織の増長ぶりに拍車をかける結果となり、今回の事件の引き金となっているように思います。
警察官の殺人に対する甘い対応を是正しないと、これからも同じことが何度でも起きるでしょう。
抗議活動には、警察官が同調する姿勢も見受けられます。

◆略奪行為

スーパーや家電販売などの商店に押し入って、商品の略奪を目的する集団で、集団を構成するのは黒人や白人の男性が多いという傾向があるようです。
コロナ騒動で職を失った人も多く、生活苦やストレスから略奪行為を行う人がほとんどのようです。
略奪行為を止めようとしている人々には黒人男性が多いと言われ、店に押し入ろうとする人々の前を遮って制止してる様子が映像に写されています。
略奪行為に走る人々は少数派、抗議活動とはまったく無縁で、殺人事件の抗議活動に便乗した単なる窃盗行為と言えるでしょう。

◆破壊活動

目的がはっきりしませんが強いて言えば破壊活動を目的として、政府機関や金融機関、多国籍企業などを襲撃する集団です。
ブラックブロックというANTIFAから派生した黒装束の集団で、反資本主義、無政府主義を掲げています。
政治や思想などの背景は不明ですが、略奪行為と同様に破壊行為の便乗犯でしょう。
ANTIFAは、ドイツで始まった反ファシズム、反差別主義運動が世界に拡散、本部もなく指導者もいない、さらに組織を構成しない勢力です。
トランプ大統領は、ANTIFAを極左勢力、テロ組織などと呼び、トランプ支持に対抗する勢力と言われることもあります。

■全米各地の状況

抗議活動の盛んな地域の多くが民主党支持となっている背景には、トランプ降ろしを目的とするものがあるとも言えそうだ。
米大統領選が始まってからは、コロナ騒動、景気低迷、抗議デモ、香港国家安全法など、次から次へと大問題が持ち上がっており、支持率低下のトランプにとって大統領選は逆風の嵐が吹き荒れている。

●ミネアポリス
事件が起きた翌日の25日からは、ミネアポリス市民による抗議デモが続き、28日には暴動へと発展して警察署には火が付けられて燃え上がった。
1992年のロスアンジェルス暴動の再来となってしまった。
6月8日、ミネアポリス市議会は、市警察を段階的に解体して治安維持をはかる新たな仕組みの創設を目指すことに過半数の議員が賛成していると発表。
事件以来はじめて解決を目指す方向が示された。

●ニューヨーク
夜間23:00以降外出禁止となっているニューヨーク、5月1日には一部の略奪グループによる百貨店、家電販売店、衣料品店など多くの店舗で略奪行為が行われ、翌2日には20:00以降外出禁止の措置が取られた。
一方、抗議活動は多くの市民が肯定的で、「これは平和的な抗議、撃たないで!」と叫びながら日中から数千人がデモ行進を行っている。
大勢のコロナ被害者が出たニューヨーク、感染の拡大も心配されるがアメリカらしいとも言える。

●ロスアンゼルス
ロスアンゼルスでは、4月29日からダウンタウンで抗議でもが始まった。
翌30日には10000人が抗議デモに参加して、ウエストハリウッド近郊に始まりビバリーヒルズ、ロングビーチ、サンタモニカなどに拡大、大半は平和的な抗議活動であったが、一部は暴徒化して破壊、略奪行為に走る集団も出ている。
大型ショッピングモール、アップルストア、アパレル店では、ウィンドウが破壊されるなどの被害が出ている。
さらに抗議でもは周辺地域に拡大している。

●セントルイス&ラスベガス
6月1日、セントルイスで警官4名、ラスベガスで警官1名が、デモへの対応中に銃で撃たれる事態が発生した。

●ワシントンDC
6月8日、デモへの参加者は増え続け、ホワイトハウス周辺には数万人規模に拡大したデモ行進が行われた。
欧州各国、日本にも抗議活動が広まった。

●シアトル
ワシントン州シアトルでは、5月30日に大規模なデモ活動へ発展、市庁舎や警察署が襲撃され6ブロックのエリアが占拠されて、キャピトルヒル自治区の名前で呼ばれている。
6月8日には、警察が東警察署から撤退している。
民主党の州知事ジェイ・インズリー、市長ジェニー・ダーカンは、これを支持してトランプ大統領を批判しているとされる。
トランプ大統領はアンティファによるテロ行為と断定して鎮圧に向かう方針。
これまでの目的とは別の意図があるのか、破壊活動の発展したものかは定かではない。
ポートランドでも同様の動きが起こりそうと指摘されている。
6月25日、シアトル自治区の事実上の指導者は、シアトル自治区を占拠したデモ隊の多くが退去しており、シアトル自治区は解散していることを発表した。

●フロリダ州
抗議活動に参加していた黒人女性2名が6月6日頃から行方不明となっていたが、6月13日に遺体で発見された。
容疑者とされる男(49)は逮捕されている。

●ジョージア州
6月12日、ジョージア州アトランタでは警官と争った黒人男性が逃走しようとして射殺、デモ隊の一部が暴徒化してファーストフード店に放火した。
翌13日アトランタのボトムズ市長は、市警本部長の引責辞任を発表、警察官は懲戒免職となった。
検事によると、殺害した警官は終身刑か死刑の可能性があると示唆している。

●奴隷解放記念日
6月19日、黒人差別に対する抗議デモが続く米国では、奴隷解放記念日を迎えて全米各地で抗議デモが一層拡大、数百万品規模に上ると報じられた。
奴隷解放記念日を祝日にする自治体が相次いでいる。
激動の時代となる2020年、長い間暗黙のうちに続いてきた黒人差別が、ようやく改革へと動き出した。

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