中国経済2020年/新型コロナウィルスは戦後最大の危機を迎える

中国経済2020年/新型コロナウィルスは戦後最大の危機を迎える

2019年11月に武漢で感染が始まった新型コロナウイルスは、2020年2月に入ると世界中に感染が拡大して多くの犠牲者を出し続け、いまだに収束の兆しがみえません。
被害の大きい都市では封鎖による移動制限措置が実施され、日本でも外出や営業の自粛を余儀なくされ、経済への影響も懸念されています。
特にアメリカやヨーロッパの大都市では甚大な感染者の報告がありますが、中国の被害は政府も把握できないほどの状況と言われています。
2020年は戦後最大の激動の年となり、経済崩壊の危機も噂される2020年の中国経済には注目しています。

■経済統計

経済指標
指標項目 19年3月 19年6月 19年9月 19年12月 20年3月
実質GDP成長率 6.4 6.3 6.2 6.1 -6.8
製造業景況感指数(PMI) 50.5 49.4 49.8 50.2 52.0
生産者物価指数(PPI) 0.4 0.0 -1.2 -0.5 -1.2
消費者物価指数(CPI)総合 2.3 2.7 3.0 4.5 4.3
消費者物価指数(CPI)食品 1.0 8.3 11.2 17.4 20.3
新築住宅価格指数(北京) 3.2 3.9 4.7 4.8  
■貿易          
輸出額(億ドル) 1,979.3 2,128.4 2181.2 2382.3 1,753.6
輸出前年比 13.8 -1.3 -3.2 7.9 -11.4
輸入額(億ドル) 1,656.4 1,618.6 1,784.7 1910.6 1,644.8
輸入前年比 -7.8 -7.3 -8.5 16.5 -0.7
貿易収支(億ドル) 319.6 509.7 396.5 472.1 184.6
          139.5

◆GDP成長率は右肩下がり

中国は2001年12月にWTOへの加盟が承認され、翌年の胡錦濤政権が誕生した年には、7%台に落ち込んでいたGDP成長率がここから急速に伸びていく。
WTO加盟から5年後の2007年には、中国のGDP成長率は15%に達してピークを付けた。
翌年の2008年9月には、1000年に1度の経済危機といわれたリーマンショックの影響で、GDP成長率は6%台まで急落していく。
リーマンショックから2年後の2010年には、中国のGDP成長率は早くも12%を超えるまで回復していった。
しかし、GDPの伸びもここまでとなり、2012年には再び8%を割り込んでしまった。
2012年11月には習近平現政権が誕生、一端GDP成長率が8%台へ戻したが、その後は毎年右肩下がりとなり鈍化していった。
アメリカ大統領にドナルド・トランプが就任すると、アメリカと中国は対立姿勢が激化、米中貿易戦争がここから始まっていった。
米中貿易摩擦の影響もあり、2019年12月にはピーク時から半減してGDP成長率が6.1%まで下落、さらに2020年3月には、新型コロナウイルスの影響で1992年からの統計上、初のマイナス成長となり-6.8%まで急落した。
中国人民大学の向松祚教授によると、中国政府の発表しているGDPの数値には懐疑的で、2020年には更なる落ち込みを予想していました。(これは新型コロナウイルス前の発言)
向松祚教授は中国政府に批判的とも取れる見解を述べることも多いですが、アメリカ寄りというわけではありません。
それ故に教授の発言には、世界中から注目を集める人物です。

■問題山積の中国経済

●失業問題
●食料危機
●富の集中
●過剰債務
●移民問題
●米中貿易
●新型コロナウイルス

◆莫大な過剰債務

2019年7月、国際金融協会(IIF)は、第一四半期の中国の政府、企業、個人を合わせた債務残高が40兆ドル(4,300兆円)、GDPの303%相当になると報じた。
債権発行状況からみると、地方政府と銀行の借り入れが大幅に増加している。
政府は雇用維持と投資促進のため、中小企業への融資を増やすよう銀行へ呼びかけていた。
また地方政府の純債権発行額は、上半期で3,165億ドルにのぼる。

●拡大するシャドーバンキングの融資と企業債務
信用リスクの高い企業は銀行から直接融資を受けることはできません。
このような企業が融資を受けるために、高金利のシャドーバンキングが利用されます。
シャドーバンキングでは、高金利の理財商品を販売して投資家から資金を調達して、集めた資金を融資に回す仕組みです。
2017年6月末時点での取り扱い残高は、61.8兆元(927兆円)に拡大、これは2016年のGDPの80%に昇ります。
理財商品は、短期で償還を迎えるものが大半ですから、融資を受けた企業は高金利の支払いのため、さらに多額の融資を受けて返済することになり、
事業を継続するためには、借金で回し続ける企業が大半となっています。
少なくとも利払い以上の純利益を上げ続けなければ、事業の持続可能性は損なわれていきます。
新たに融資を受けられなければ即デフォルトとなり、既にデフォルトに陥る企業が増加しています。

●多額の不良債権を抱える銀行経営
企業の経営難で銀行は回収不能な債権が激増、公的管理下に置かれるほか、大手国有銀行や政府系ファンドの資金注入など救済策を講じられている。
S&Pによるとコロナウイルスの影響が長期化すれば、銀行の不良債権は6.3%程度となり、5兆6000億元(87兆円)増加する可能性があるとの見通し。
そもそも中国にはまともな事業活動をしていないゾンビ企業の類も多く、幾ら資金注入しても回復する可能性もなく、延命させれば負債が増えるだけと思える。
このままでは、銀行も不良債権が増えるだけで共倒れになりかねないのが現状だ。

◆失業問題

中国国家統計局の発表によると2020年2月の失業率は、前年同月比で0.9ポイント増加して6.2%となった。
1~2月の求人数は前年同期比で32.4%減少、業種別では文化、メディア、娯楽、スポーツ関連で40%減、IT、通信、電子部品、インターネット関連で30%減と落ち込みが大きくなった。
2020年の大学生は前年比で40万人増加して874万人、就職活動がピークを迎える3月、4月にはコロナウイルスの影響で就職活動もできない状況である。
数据吐槽中心によると、中国国家統計局の発表した失業率6.2%は実態と乖離していると指摘、失業者2億人以上と試算している。
試算の根拠はコロナウイルス発生前の就業者数と発生後の企業の稼働率を使って、企業の非稼働率に相当する分を失業者数としているので、統計局の数値よりも信頼性が高いと判断できる。
大手製造業で500万人が失業、民間の中小製造業では9000万人のうち再稼働率80%未満で2000万人が失業、サービス業では3億7000万人のうち再稼働率50%で1億8500万人が失業、合計すると2億1000万人となる。
このうち大手製造業は大半が国有企業で失業給付を受けているとして、500万人を除外すると、2億500万人となる。
中国全体の就業者を7億7500万人(2018年)として計算すると26.5%となり、4人に1人が新規失業者ということになる。
これらの人々は生活保証もないので、深刻な飢えで苦しむことになる。
中国政府は弱者救済に動くのか、今後の対応に注目される。

◆食料危機

2020年は食料危機が懸念されているため、各国で食料品の輸出が手控えられる傾向が出ています。
中国は食料品を外国からの輸入に依存する割合が高く、そのなかでもアメリカからの輸入が多く、依存度が高いといえるでしょう。
このような状態のなかでアメリカとの貿易摩擦は、中国にとって好ましいことではありません。
さらに2020年は農作物の昆虫被害が例年以上に懸念される状況となっていて、東アフリカでは既に2000万人が食料危機に直面しています。
中国ではインフレの影響で食料価格が高騰、中国人が良く食べる豚肉は庶民には高くて手が出ないほど高騰、さらにバッタやヨウトウムシ、長江沿岸の水害による農作物の被害を考えれば、深刻な食糧危機に陥ることは明白です。

●食料価格の上昇
中国国家統計局が発表した2020年3月の消費者物価指数(前年同月)は4.3%の上昇、食品は20.3%の上昇、特に豚肉はアフリカ豚熱の影響で2倍以上に上昇しています。
中国人が良く食べるといわれる豚肉ですが、一般庶民の食卓に載るには高すぎる食材となってしまいました。
相次ぐ企業の倒産や外国企業の中国離れで失業者が激増、収入激減とインフレ加速のダブルパンチで一般庶民の生活はたちいかなくなっています。
世界的な食糧不足の懸念から食料危機もささやかれるなかで、問題山積の中国政府の対策には手詰まり感が強く、期待が持てない状況が続くことになるでしょう。

●サバクトビバッタ被害

例年、乾燥地帯に雨が降ると一面草原地帯へと早変わり、サバクトビバッタもこの時期には大量発生となります。
東アフリカではサイクロンの影響で豪雨が長く続き草原が広範囲に拡大したため、サバクトビバッタが大量発生する原因となりました。
東アフリカから紅海を渡ってサウジアラビアへ、1月にはパキスタン、ネパール、インド、ミャンマーへ到着
移動しながら繁殖を繰り返したサバクトビバッタは400倍の大群に膨れ上がり、ヒマラヤ山脈を迂回して中国へ入るとも予想されています。
東アフリカのエチオピア、ケニア、ソマリアなどの国では甚大な農作物被害を被って食料危機となっています。
今後は中国でも同様の被害が懸念されますが、再び東アフリカへ戻っていったと言われています。
6月中旬、とうとう中国にサバクトビバッタが大量繁殖、農作物に甚大な被害が発生しています。
バッタの被害は、四川省、湖南省、湖北省、江西省、雲南省など
全州県農業部の調査結果では、バッタの被害を受けた面積は推定40万㎡、政府の声明はまだですが農家には果樹農業から稲農業への転換を要請され、食料の備蓄に深刻な影響が出ていると予測されている。
中国では6月初めから大量の雨が降り長江沿岸では洪水被害が多発しており、今後は雨の影響でさらにバッタの大量繁殖の引き金となることが予想され、食料危機は避けられない。

●ヨトウムシ(ツマジロクサヨトウ)被害

ヨトウムシはチョウ目ヤガ科の蛾の一種で、この幼虫は雑食のためトウモロコシ、サトウキビ、野菜など80種類以上を食害します。
気流に乗って一晩で100kmの距離を移動するため、短期間で広範囲に分布が広がっていく特性を持っています。
しかも繁殖力が強く1匹の雌から1400個のタマゴが生まれるといいますから、想像を絶するスピードで増殖していきます。
中国では、2020年1月に雲南省、河北省をはじめとして23の省、市、自治区で発生が確認されています。
トウモロコシの生産高では世界の20%近くを生産する中国をはじめとして、アフリカではサハラ以南全域、アジアではインド、タイ、ミャンマーなど広範囲で被害が拡大しています。
対策としては、殺虫剤の散布が一般的に知られていますが、薬への耐性が強いため、殺傷力の強い強力な薬が必要となり、土壌汚染の弊害となるリスクがあります。
中国ではヨトウムシの幼虫駆除にはカメムシが有効とされ、カメムシ1匹でヨトウムシの幼虫を1日平均40匹駆除できて、薬害の心配もないといいます。

◆企業の中国離れ

2018年に始まった米中貿易戦争は、徐々に中国経済を圧迫、中国へ進出している外国企業にも、中国依存のサプライチェーンを見直す動きが広まっていく。
特に米国政府によるファーウェイへの制裁措置は熾烈を極め、ファーウェイと取引する企業にも大きなリスク要因となっている。
2020年に入るとコロナの影響で、中国国内は都市封鎖によって移動が制限され、サプライチェーンが分断、事業活動の停止を余儀なくされた。
3月にはコロナ被害が世界中に広がり、4月に入ると中国に対するコロナ被害の賠償責任を追及する動きが世界各地で広がってきた。
中国依存の高い外国企業の多くが事業活動に支障をきたすことになり、中国離れの機運が高まる結果となっている。
中国企業のなかにも、中国から周辺国への工場移転の準備を始める動きが出始めている。
日本政府は中国へ進出している企業に対して、中国から撤退する費用を補助する政策を打ち出した。
コロナの影響は、中国依存からの脱却を目指す企業にとっては、契機を促す機会となるだろう。
外国企業の中国離れが加速すれば、関連企業の倒産や雇用の喪失にも繋がり、中国経済への影響は計り知れない。
中国依存の高い日本企業も大きなダメージを負うことは避けられない。

◆米中貿易

2018年から始まった米中貿易摩擦は、中国にとって最大の輸出国であるアメリカとの貿易収支を大きく悪化させる要因となった。
アメリカの株式市場に上場する中国企業への監査規制が強化され、2020年には上場廃止に追い込まれる企業の増加が予想される。
中国企業のアメリカ株式市場への上場についても規制が強化されてくるし、年金資金の中国企業への投資も抑制される。
中でもファーウェイに対するアメリカの制裁処置は徹底していて、ファーウェイ№2の孟晩舟が銀行への詐欺容疑で逮捕された。
次世代通信規格となる5Gは、米中にとって経済だけでなく国家の安全対策にも係わる最重要分野となり、アメリカはあらゆる手段で制裁措置を講じるだろう。

◆新型コロナウイルスの問題

2019年11月に中国の武漢で発生した新型コロナウイルスは、2020年から米国、欧州を中心として世界中に拡散し、甚大な被害を与えています。
2020年4月末現在、世界全体で感染者が320万人以上、死亡者が22万8千人以上に上っています。
世界中から中国の責任を問う姿勢が増大し、賠償を求めて訴訟を起こす政府や民間機関が出てきました。
賠償責任を表明している国は、アメリカ、イギリス、イタリア、ドイツ、エジプト、インド、ナイジェリア、オーストラリアの8カ国で、今後も追従して増え続けることは確実視されています。
現時点での賠償請求額は100兆ドル(約1京1000億円)に上り、中国のGDPで7年分に相当すると言われています。
ここまで見てきた通り2020年の中国経済はどん底の状態で、賠償請求に応じる可能性は0%です。
世界第二位の経済大国と言われてきた中国ですが、コロナ収束後の中国に何が残るのか、過剰投資で作られた利用されない工場、マンション、道路など瓦礫の山が残るだけになりかねません。
まさに八方塞がりの中国、米国では大統領選挙、2020年は激動の時代を迎えています。

●米国の中国制裁が本格化
5月13日、米公務員年金基金の中国株への投資を無期限延長、これは中国制裁だけでなく、中国株の暴落に備えて年金を守るという意味合いもある。
米国の会計基準を採用しない中国企業は、米国株式市場への上場ができなくなる可能性が出ている。
現在、米国市場に上場する中国企業は172社、時価総額1兆ドル相当にのぼる・
5月14日、FOXニュースは、トランプ大統領が、中国との全ての関係を立ち切る可能性を示唆したことを報じた。
5月15日、ファーウェイへの禁輸措置を強化して、台湾からの半導体の輸出がストップ。
ファーウェイ製品の製造に大きな支障となる。
さらに、コロナ被害の賠償にも踏み込んだ。

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