米中貿易戦争/ファーウェイ制裁

米中貿易戦争/ファーウェイ制裁

中国製造2025がからむ米国トランプ政権とファーウェイの対立が表面化。
2020年は次世代通信システム(5G)が実用化、移動体通信事業者にとっては躍進の年となるが、成長著しいファーウェイの事業計画は今後見直しを余儀なくされる可能性が指摘される。

■ファーウェイ・テクノロジーズ(Huawei Technologies)

1987年、元人民解放軍所属の軍事技術関係者により通信機器ベンダーとして深浅市で創業開始。
2012年、売上高で世界最大の通信機器ベンダーとなった。
2019年、世界170カ国530社に通信設備を提供、スマートフォン出荷台数、シェアで世界3位。
2019年9月、5G技術で先行するファーウェイ、5G基地局出荷台数が20万台に拡大したと発表。
2019年9月、5G技術の外販を健闘していることを公表。

半年ごとにCEOが交代するきわめてユニークなCEO3人体制、売上の10%以上を研究開発に投資、先端技術への投資意欲旺盛な企業として知られる。

中国企業の中でも最も成長している有数の企業となっているが、米国との対立が表面化して今後の事業計画の見直しが迫られる。

■ファーウェイへの制裁理由

米ワシントン・ポストは中国通信機器最大手ファーウェイが8年以上に渡り、北朝鮮の携帯電話網の整備や維持に関わっていたことを報じた。

その中には米国の技術を利用した部品などが含まれ、米国の輸出規制に違反する疑いが生じている。

イラン、北朝鮮など米国、国連の経済制裁中の国に対して、禁輸措置に反する通信インフラの輸出。

中国政府の意向を受けて米国に対するサイバー攻撃、スパイ行為への加担。

■ファーウェイへの制裁措置

2018年12月、中国通信機器大手ファーウェイの№2、孟晩舟副会長がカナダのバンクーバー国際空港で逮捕された。
理由は経済制裁中のイラン通信企業とファーウェイ関連企業の取引に関して米国金融機関に虚偽の説明をしたというもの。
ここから米政府のファーウェイ制裁が本格化することになる。
米国政府調達品からファーウェイ製品を排除、大手企業へもファーウェイ製品排除要請となった。
ファイブアイズ連合の4カ国、カナダ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドへもファーウェイ製品規制を要請。
安全保障上のリスクを理由に2020年8月からファーウェイなど中国ハイテク企業の製品を使用するだけで、米政府との取引禁止とする措置を打ち出す。
2019年5月、米国企業に対して許可なくファーウェイへの半導体、ソフトウェアなどの販売を禁止。
これを受けてGoogleはファーウェイに対して、スマートフォンの基盤OSであるアンドロイドの提供を一時ストップした。
日本はファーウェイに対して多くのスマートフォンの部品を提供しているが、今後は米国と中国の板挟みとなり、難しい対応に迫られる。

■ファーウェイ制裁の背景

次世代通信システム(5G)は2020年から実用化される最先端の通信システムで、今までの4Gとは比較にならないほど利用分野が大幅に拡大する。
これから多数の新技術が開発され、インフラ整備も本格化、次世代通信システムは米国にとってもハイテク分野の中核となる存在である。
しかし、現状では次世代通信技術ではファーウェイが先行している。
米国は中国製造2025にも明記されている次世代通信システム分野における中国の台頭には危機感を持っている。
さらにファーウェイの技術は、中国の軍需産業へも利用されていることから、必然的に米国を脅かす要因となっている。
中国通信機器メーカーの中心的存在であるファーウェイへの牽制は、米国にとって必然的な措置と言える。

■トピック

●ファーウェイ幹部孟晩舟、カナダで拘束
孟晩舟(モウ・バンシュウ)は、1972年生まれ四川省成都出身の現ファーウェイCFO(最高財務責任者)副会長で、次期会長候補と噂のある人物です。
父親の任正非(ジン・セイヒ)は中国人民解放軍出身の実業家で現ファーウェイCEO(最高経営責任者)、母親の孟軍は中国共産党幹部の娘。
ファーウェイは中国共産党の後押しを受けて、急成長した通信機器関連の会社です。
孟晩舟は、2018年12月1日に香港からメキシコへ向かう際、立ち寄ったカナダのバンクーバで、身柄を拘束されました。
身柄拘束はアメリカの要請でカナダ当局が行い、現在はカナダ当局の監視下にあります。
容疑は、香港を通して経済制裁中のイランに対して通信機材などを提供したこと、これに関連した詐欺罪などの違反行為とされているようです。
孟晩舟はカナダからアメリカへの身柄引き渡しの審議に懸けられ、既に1年以上が経過していますが、さらに長期化することも予想されます。
現在は、巨額の保釈金8億5000万円を積んで保釈中となっていますが、カナダ当局の監視下に置かれている状況です。
同日、米スタンフォード大学終身名誉教授の張首晟(チョウ・シュセイ/Shoucheng Zhang)がスタンフォード大学構内で死亡、死因は自殺とされています。
張教授は中国系米国籍で千人計画にも選ばれ、ファーウェイとの関係も深いとされています。
千人計画は産業スパイ活動の組織としてFBIから調査対象となっていて、張教授もFBIからマークされていたようです。

●TSMC(台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング)米アリゾナ州に工場建設
2020年5月15日、ファーウェイへの輸出規制に新ルールを適用。
米国半導体製造装置を利用して最先端半導体を製造した場合、禁輸措置を講じるというもの。
これで台湾のTSMCは中国へ半導体の輸出が規制され、ファーウェイへの輸出もストップする。
半導体製造で世界最大手のTSMCは、米アリゾナ州に総工費120億ドルをかけて半導体工場を建設、事実上中国から撤退となる。
半導体部品の大半をTSMCに頼ってきたファーウェイは、他の調達先を探さなくてはならないが、韓国のサムソンや日本企業など候補は少ない。
アメリカがひとつの企業を相手に、ここまで強肩な制裁措置を講じたことは過去に例がなく、欧州各国もファーウェイ離れが顕著となってきた。
今後、アメリカの制裁措置はファーウェイに留まらず、中国企業全体に拡大することになるだろう。

6月19日ファーウェイ元職員、李洪元のブログによると、ファーウェイは50%の従業員を解雇する記事を掲載して注目を集めている。
7月15日米国務省は、人権侵害への関与を理由にファーウェイ、ハイクビジョンなどの職員に米国ビザ発給制限を行うことを公表した。
英政府でもファーウェイ5G排除の方針。

8月からファーウェイ、ZTE、ハイクビジョン、ハイテラ、Dahuaの5社と取引する外国企業は、米国政府との取引を停止する。
既に米国はファーウェイへの部品提供を禁止、台湾のTSMC、韓国のサムソン、日本企業などもファーウェイへの半導体関連部品の提供が規制される。
TSMCは半導体工場を中国から米国へシフトしている。

 

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