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終わりなき米中貿易戦争/コロナ騒動で対立激化

終わりなき米中貿易戦争/コロナ騒動で対立激化

第45代アメリカ大統領に共和党ドナルド・トランプが就任してからは、アメリカの対中戦略は180度転換している。
2018年から始まった米中関税合戦に始まり、2020年に入ると中国発新型コロナウィルスが世界中に蔓延し、アメリカは甚大な被害を受けることになった。
最早貿易摩擦というレベルに留まらず、米中は修復不能な対立構造が余儀なくされている。
今は世界中が新型コロナウィルスへの対応に追われているが、収束に向かってくればアメリカは中国を決して許さないだろう。
既に中国に対してウィルス被害の賠償責任を負わせることが検討され、イギリス、オーストラリア、インド、ブラジルなどの国でも同様の動きが進んでいる。
ウイルス感染が収束に向かってくれば、他の国も追従する可能性が高いと予想される。
中国には莫大な賠償責任がのしかかってくることは必須となる。
経済崩壊が囁かれる中国には、賠償に応じられる経済力は失われ、賠償に応じることは困難であろう。
持続不可能な国策を続けてきた中国に、新型コロナウイルスがトドメを刺すことになりそうだ。
2020年は戦後最大の危機の訪れが予想されるなか、米中の対立はどうなってゆくのか、目が離せない情勢となる。

■米中関税合戦の経緯

2018年3月22日、トランプ大統領は知的財産の侵害、技術移転など中国の政策によって米国が不利益を被っていることを理由に、スーパー301条による中国製品への関税賦課をUSTR(アメリカ合衆国通商代表部)へ指示する。
4月3日、USTRは産業用ロボット、小銃や爆弾、医療機器、電気自動車、半導体などの中国製品1300品目(500億ドル相当)に25%の関税を適用する原案を発表した。
4月4日、中国は大豆・自動車・航空機・牛肉など米国製品160品目に対して25%の報復関税案を発表。

ここから米中貿易戦争と呼ばれる関税合戦が展開されることになる。

◆対中関税第1弾

6月15日、USTRは7月6日付けで消費者向け製品を除く、中国製品818品目(340億ドル相当)に25%の関税を適用することを発表した。
6月16日、中国商務省は同様の規模の報復関税で対抗することを発表。
新華社通信発表によれば、大豆、自動車、海産物などの米国製品659製品(500億ドル相当)に25%の関税を適用。
7月6日付けでは農産品、自動車など340億ドル相当、他の製品については後日発表するとしている。

◆対中関税第2弾

8月7日、USTRは8月23日付けで対中制裁関税第2弾の発動を発表。
半導体関連、電子部品、プラスチック、ゴム製品、鉄道車両、通信部品、産業機械など中国製品279品目(160億ドル相当)に25%の関税を適用することを発表した。
これに対して、中国商務省は同様の規模の報復関税で対抗することを既に発表済み。
トランプ米大統領は当初から知財侵害による年間被害額相当の500億ドル分に制裁関税を課す方針を示してきたが、第1弾と第2弾を合わせて500億ドルとなった。
さらに中国側の報復関税に対して、第3弾には2000億ドル分を準備していることを示唆。

◆対中関税第3弾

9月24日、米国は対中関税第3弾として中国製品5745品目(2000億ドル相当)に10%を上乗せする制裁関税を適用することを発表した。
今回対象に上がる品目には日用品も含まれることから、一般消費者に及ぼす影響も懸念される。
これによって総額2500億ドルに対する制裁関税が適用されることになり、中国からの輸入総額の50%に当たる規模となった。
対する中国は、600億ドル相当の米国製品に5%~10%の報復関税を適用することを発表。
中国は既に米国からの輸入総額の75%にあたる1100億ドル相当に報復関税を適用することになり、球切れ間近の状況。
経済大国ナンバーワンをめぐる覇権争いにも発展しかねない泥沼状態に突入してきている。

◆対中関税第4弾

2019年5月13日、米国は対中関税第4弾として中国製品3805品目(3000億ドル相当)に最大25%の制裁関税の適用を検討すると発表した。
対する中国は、600億ドル相当の米国製品に25%の報復関税を適用することを発表。
6月28日、29日には大坂でG20が開催され、トランプ大統領と習近平国家主席が顔をあわせることになる。
現時点では解決の糸口もなく、このままの状態が続くと両者とも無傷では済まなくなることは必須。
2019年9月1日、トランプ大統領はほぼ全ての中国製品に関税を課す対中関税第4弾の実施を表明、スマホ、PCなど一部の製品は12月に先送り。

■まとめ

◆米中協議における米国の要求事項

1.技術移転における現在の政策を年内に廃止すること。
2.知的財産の保護と執行を強化すること。
3.米国企業の知的財産や営業秘密へのサイバー攻撃を止めること。
4.重要な技術分野への中国からの投資を制限する米国の措置に反対しないこと。
5.サービス貿易の自由化を進めること。
6.農産物市場の自由化を進めること。
7.2020年7月までに中国の関税を米国並みに引き下げること。
8.2018年6月から1年で1,000億ドル、2年で2,000億ドルの米国対中赤字を削減すること。
9.中国製造2025の重点産業への補助金を停止すること。

トランプ大統領の強気な外交姿勢から米国は妥協はしないでしょう。
一方中国も同様に強気な外交姿勢を崩すことはないですから、いくら協議を重ねても解決する方向に向かう可能性は少ないです。
このまま上限になるまで関税を引き上げた後、膠着状態が続いていくことが予想されます。
中国製の部品を使っている日本製品に対しても関税の引き上げが適用されることになり、大きな影響を受けることになりそうです。
景気後退を避けることは難しそうで、日本の消費税増税も不透明となってきました。

■関連記事

◆2020年

●新型コロナウィルス発症

2019年11月から12月に中国湖北省武漢市で発生した新型コロナウィルスは、2020年にはいると世界中に拡散し、4月には100万人を超える感染者を出して世界中をパニックに陥れた。
中国の隠蔽工作から細菌兵器との疑惑も広がり、中国からはアメリカ陰謀説まで出てきており、米中対立は経済戦争から新型コロナウィルスへと、さらに対立姿勢を強めてきた。
トランプ政権は中国共産党を敵国として認定、中国に対して賠償要求を求める国も出てきている。
中国内部でも習近平降ろしの動きも出てきていて、もはや話し合いで解決できる状態ではなく、米中の軍事衝突に発展する可能性も現実味を帯びている。

●瑞幸珈琲(ラッキンコーヒー)不正会計発覚

2020年4月2日、米NASDAQ上場の中国コーヒーチェーン、瑞幸珈琲(ラッキンコーヒー)は不正会計の報告を受け、取締役会で調査中であることを公表した。
COO(最高執行責任者)のジアン・リューを始めとする、複数の部下による不正疑惑により、ジアン・リューは停職処分となった。
同社によると2019年9月30日までの過去9か月間に約22億元(335億円)の不正取引(架空売上)が発生しているとのこと。
この報告を受けてラッキンコーヒーの株価は、4月2日の1日で26.20(US$)から6.40(US$)と75%以上の下落となった。
トランプ政権では、以前から中国企業の米国株式上場については、問題視されてきたことで、今後は中国企業の上場に厳しい制約がかかることも予想される。

●新型コロナウィルス/中国の責任追及

トランプ大統領は4月18日、国防生産法を発動し医療用マスク、人工呼吸器の増産を民間企業に求める方針を発表した。
新型コロナウィルスの責任が中国であることを改めて強調した。
米国では、中国の賠償責任を求める動きが広がっており、中国が賠償に応じなければ米国内の中国当局、共産党幹部の資産凍結など断固とした措置を講ずる姿勢だ。
これに対して日本は、相変わらず優柔不断で傍観姿勢を維持する姿勢にみえる。
4月29日現在、米国、英国、イタリア、ドイツ、エジプト、ナイジェリア、インド、オーストラリアの8カ国の政府、民間機関がコロナ被害の損害賠償の訴訟を起こしている。
損害賠償の総額は一京円以上、中国のGDPの7倍相当に上る。
現時点ではコロナウイルスの対応に追われているものの、対応が一段落してくれば、8カ国以外からも損害賠償の動きが強まってくると見られる。

●全国人民代表大会
5月21日、中国全人大において張業遂報道官は、新型コロナウイルスに関する賠償請求には、一説応じないことを表明した。
5月28日、香港国家安全法の導入可決と一国二制度崩壊。
米国は、国家安全法導入に対する中国への制裁措置の検討に入る。

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