米国上院選挙
2022年は米国連邦議員選挙が実施される年、これから中間選挙が始まり共和党と民主党の候補者が選ばれます。
現在米国は、大統領、上院、下院のすべてで民主党が多数派を占めていますが、今年の選挙では共和党が巻き返す公算が大きいと予想されます。
2020年の大統領選挙によって民主党は米国民の信頼を失い、過度なインフレと度重なるバイデン政権の失政によって支持率が低迷していることが主な要因としてあげられます。
上院選挙は各州で2名が選出され定員は100名、任期は6年で2年毎に定員の3分の1が選出されます。
6の倍数に当たる年が34名、他の年が33名が再選され、同じ州では最大でも議員1名が再選対象となります。
2022年は、33名が選出される年になりますが、2議席欠員のため35名が選出されます。
現在の上院議員は共和党50名、民主党50名、改選されるのは共和党20名、民主党14名です。
選挙政策としては、共和党が治安とインフレ、民主党が人工中絶を掲げていますが、選挙戦の鍵を握る中間層がどちらを選ぶか不透明、改選議席から判断すると民主党有利とも見られていますので、2022年中間選挙の最大の焦点になります。
ワシントンDCは、米国政府直轄の地域で上院議員は存在せず、議決権を持たない下院議員のみ選出対象になります。
トランプ前大統領推薦の候補者18名が予備戦に臨みましたが、そのうち17名が11月の中間選挙に進出、落選した1名はジョージア州、民主党支持者の票が大量に投入されて対立候補が選出されました。
レッドステートの位置付けですが、実態は中国依存が高く民主党寄りで州知事が造反者となった特殊な州です。
■予備選の状況
No | 州 | 現職議員 | 政党 | 代表候補 |
1 | AL:アラバマ州 | リチャード・シェルビー | 共和 | ケイティ・ブリット |
民主 | ウィル・ボイド | |||
2 | AK:アラスカ州 | リサ・マコウスキー | 共和 | リサ・マコウスキー |
共和 | ケリー・ツィバカ | |||
3 | AZ:アリゾナ州 | マーク・ケリー | 民主 | マーク・ケリー |
共和 | ブレイク・マスターズ | |||
4 | AR:アーカンソー州 | ジョン・ブーズマン | 共和 | ジョン・ブーズマン |
民主 | ナタリー・ジェームズ | |||
5 | CA:カリフォルニア州 | アレックス・パディラ | 民主 | アレックス・パディラ |
共和 | マーク・ミューザー | |||
6 | CO:コロラド州 | マイケル・ベネット | 民主 | マイケル・ベネット |
共和 | ジョー・オディア | |||
7 | CT:コネチカット州 | リチャード・ブルメンタール | 民主 | リチャード・ブルメンタール |
共和 | レオラ・レヴィ | |||
8 | DE:デラウェア州 | 改選無1 | ||
9 | FL:フロリダ州 | マルコ・ルビオ | 共和 | マルコ・ルビオ |
民主 | ヴァル・デミングス | |||
10 | GA:ジョージア州 | ラファエル・ワーノック | 民主 | ラファエル・ワーノック |
共和 | ハーシェル・ウォーカー | |||
11 | HI:ハワイ州 | ブライアン・シャッツ | 民主 | ブライアン・シャッツ |
共和 | ハーシェル・ウォーカー | |||
12 | IA:アイオワ州 | チャック・グラスリー | 共和 | チャック・グラスリー |
民主 | マイケル・フランケン | |||
13 | ID:アイダホ州 | マイク・クレイポー | 共和 | マイク・クレイポー |
民主 | デビッド・ロス | |||
14 | IL:イリノイ州 | ダミー・ダックワース | 民主 | タミー・ダックワース |
共和 | キャシー・サルヴィ | |||
15 | IN:インディアナ州 | トッド・ヤング | 共和 | トッド・ヤング |
民主 | トーマス・マクダーモット | |||
16 | KS:カンザス州 | ジェリー・モラン | 共和 | ジェリー・モラン |
民主 | マーク・ホーランド | |||
17 | KY:ケンタッキー州 | ランド・ポール | 共和 | ランド・ポール |
民主 | チャールズ・ブッカー | |||
18 | LA:ルイジアナ州 | 改選無2 | ||
19 | ME:メイン州 | 改選無3 | ||
20 | MD:メリーランド州 | クリス・ヴァン・ホーレン | 民主 | クリス・ヴァン・ホーレン |
共和 | クリス・チャフィー | |||
21 | MA:マサチューセッツ州 | 改選無4 | ||
22 | MI:ミシガン州 | 改選無5 | ||
23 | MN:ミネソタ州 | 改選無6 | ||
24 | MS:ミシシッピ州 | 改選無7 | ||
25 | MO:ミズーリ州 | ロイ・ブラント | 共和 | エリック・シュミット |
民主 | T.B.ヴァレンタイン | |||
26 | MT:モンタナ州 | 改選無8 | ||
27 | NE:ネブラスカ州 | 改選無9 | ||
28 | NV:ネバダ州 | キャサリン・コルテス・マスト | 民主 | キャサリン・コルテス・マスト |
共和 | アダム・ラクサール | |||
29 | NH:ニューハンプシャー州 | マギー・ハッサン | 民主 | マギー・ハッサン |
共和 | ドナルド・ボルダック | |||
30 | NJ:ニュージャージー州 | 改選無10 | 民主 | |
31 | NM:ニューメキシコ州 | 改選無11 | 民主 | |
32 | NY:ニューヨーク州 | チャック・シューマー | 民主 | |
33 | NC:ノースカロライナ州 | リチャード・バー | 共和 | テッド・バット |
民主 | シェリ・ビーズリー | |||
34 | ND:ノースダコタ州 | ジョン・ホーベン | 共和 | ジョン・ホーベン |
民主 | カトリーナ・クリスチャンセン | |||
35 | OH:オハイオ州 | ロブ・ポートマン | 共和 | J.D.バンス |
民主 | ティム・ライアン | |||
36 | OK:オクラホマ州 | ジェームズ・ランクフォード | 共和 | マークウェイン・マリン |
民主 | マディソン・ホーン | |||
37 | OR:オレゴン州 | ロン・ワイデン | 民主 | ロン・ワイデン |
共和 | ジョー・レア・パーキンス | |||
38 | PA:ペンシルバニア州 | パット・トゥーミー | 共和 |
メフメット・オズ |
民主 | ジョン・フェッターマン | |||
39 | RI:ロードアイランド州 | 改選無12 | ||
40 | SC:サウスカロライナ州 | ティム・スコット | 共和 | ティム・スコット |
民主 | クリストル・マシューズ | |||
41 | SD:サウスダコタ州 | ジョン・テューン | 共和 | ジョン・テューン |
民主 | ブライアン・ベングス | |||
42 | TN:テネシー州 | 改選無13 | ||
43 | TX:テキサス州 | 改選無14 | ||
44 | UT:ユタ州 | マイク・リー | 共和 | マイク・リー |
民主 | 不明 | |||
45 | VT:バーモント州 | パトリック・リーヒ | 民主 | ピーター・ウェルチ |
共和 | ジェラルド・マロイ | |||
46 | VA:バージニア州 | 改選無15 | ||
47 | WA:ワシントン州 | パティ・マレー | 民主 | パティ・マレー |
共和 | ティファニー・スマイリー | |||
48 | WV:ウェストバージニア州 | 改選無16 | ||
49 | WI:ウィスコンシン州 | ロン・ジョンソン | 共和 | ロン・ジョンソン |
民主 | マンデラ・バーンズ | |||
50 | WY:ワイオミング州 | 改選無17 |
■激戦州の状況
10月30日までの世論調査では、共和党議席4州と民主党議席3州合わせて7州が激戦州となっている。
州別ではアリゾナ、ジョージア、ノースカロライナ、ネバダ、オハイオ、ペンシルバニア、ウィスコンシンの7州。
特に共和党議席のペンシルバニアが民主党優勢、民主党議席のネバダが共和党優勢で最大の焦点になりそうだ。
共和党は大量移民による治安悪化、インフレ問題、民主党は中絶問題を挙げており、政策からは共和党有利とみられる。
世論調査に繁栄されない共和党支持者、さらに中間層の動向が勝敗を左右する最大の要因となる。
2020年の大統領選挙ではいずれの州も大規模な不正選挙が問題となった州であり、再び同じことが起これば米国の選挙制度は完全に崩壊することになる。
今年の選挙は、2020年の大統領選挙の第2ラウンドとしての位置づけであり、公正な選挙が行われるかが最大の焦点となります。
No | 州 | 政党 | 代表候補 | 支持率 |
1 | AZ:アリゾナ州 | 民主 | マーク・ケリー | 47.0 |
共和 | ブレイク・マスターズ | 46.0 | ||
2 | CO:コロラド州 | 民主 | マイケル・ベネット | 48.0 |
共和 | ジョー・オディア | 46.0 | ||
3 | GA:ジョージア州 | 民主 | ラファエル・ワーノック | 45.0 |
共和 | ハーシェル・ウォーカー | 46.0 | ||
4 | IA:アイオワ州 | 共和 | チャック・グラスリー | 50.2 |
民主 | マイケル・フランケン | 43.0 | ||
5 | NV:ネバダ州 | 民主 | キャサリン・コルテス・マスト | 43.0 |
共和 | アダム・ラクサール | 48.0 | ||
6 | NC:ノースカロライナ州 | 共和 | テッド・バット | 46.8 |
民主 | シェリ・ビーズリー | 43.6 | ||
7 | NH:ニューハンプシャー州 | 共和 | ドナルド・ボルダック | 47.0 |
民主 | マギー・ハッサン | 46.0 | ||
8 | OH:オハイオ州 | 共和 | J.D.バンス | 46.8 |
民主 | ティム・ライアン | 44.8 | ||
9 | PA:ペンシルバニア州 | 共和 | メフメット・オズ | 43.0 |
民主 | ジョン・フェッターマン | 47.0 | ||
10 | WA:ワシントン州 | 共和 | ティファニー・スマイリー | 46.0 |
民主 | パティ・マレー | 48.0 | ||
11 | WI:ウィスコンシン州 | 共和 | ロン・ジョンソン | 48.0 |
民主 | マンデラ・バーンズ | 46.0 |
◆アリゾナ州
アリゾナ州はマーク・ケリー(民主党)の任期満了に伴う選挙が実施されます。
元々共和党の地盤でしたが、2020年の選挙ではカリフォルニア州からの移住が進んだ結果、民主党が台頭し接戦州となっている州です。
10月23日の世論調査では、民主党候補の現職のマーク・ケリーが47.9%、トランプ前大統領が推薦する共和党候補のブレイク・マスターズ(ベンチャーキャピタリスト)が43.2%、僅差でケリー優勢となっている。
11月2日、第三政党リバタリアン党候補が撤退を表明して共和党候補マスターズへの支持声明を発表した。
リバタリアンは民主党から多額の資金提供を受けているが、これで民主党離れが一層加速するとみられ、アリゾナ州上院選挙は共和党の勝利が確定したように言われている。
◆アラスカ州
アラスカ州では、現職のリサ・マコウスキー氏(共和党)が再選を目指して立候補、2021年2月の上院でのトランプ氏弾劾裁判で有罪に投票した共和党員の1人です。
トランプ氏は、ケリー・ツィバカ氏(元アラスカ州行政局委員)を支持する意向。
◆ジョージア州
ジョージア州は、2020年の補欠選挙で当選したラファエル・ワーノック(民主党)の任期満了に伴う選挙が実施されます。
これまで共和党の地盤でしたが、2020年には接戦州に変わってきました。
民主党の候補は、現職のラファエル・ワーノックが再度立候補、共和党はトランプ前大統領推薦のハーシェル・ウォーカー(元フットボール選手)。
10月23日の世論調査の平均支持率は、ワーノックが47.8%、ウォーカー44.5%と拮抗している。
◆ネバダ州
激戦州と言われるスイングステートのひとつで共和党と民主党が拮抗する州。 民主党は現職のコルテスマスト、共和党はトランプ前大統領推薦の前司法長官ラクサール。
◆オハイオ州
現職の上院議員ロブ・ポートマン(共和党)は、再立候補しない意向。
共和党の候補者は、ジョシュ・マンデル(前州財務長官)、J.D.バンス氏(作家、ベンチャーキャピタリスト)、バンス氏は、トランプ氏の熱心な信奉者として知られている。
民主党側の候補者は、ティム・ライアン氏(連邦下院議員)、シェロッド・ブラウン上院議員(民主党)が支持を表明している。
5月3日の共和党予備選挙は、トランプ氏が支持するJ.D.バンス氏が当選確実となった。
◆ペンシルベニア州
ペンシルベニアは現職が共和党ですが世論調査では民主党のジョン・フェッターマンが若干優勢です。
ここを落とすと共和党は挽回するのが難しくなりそうです。
11月2日時点の世論調査では、共和党候補のメフメット・オズが45.9%、民主党候補のジョン・フェッターマンが46.9%、で僅か1%の僅差となている。
フェッターマンは5月に脳中卒になったため、6年間の上院議員の任期を全うできるか危惧されていて、テレビ討論会で医療記録を公開することが出来るかとの問いに、回答できずに医者が大丈夫と言っているとの言葉を繰り返した。
つまり医療記録を公開できないということで、病気の容態が好ましくないことを裏付ける結果となった。
またエネルギー政策についてもバイデン政策を支持する姿勢で石油開発に反対してきたが、テレビ討論会では石油開発を支持してきたことを強調した。
司会者から過去の姿勢と異なっている理由を問われると、言葉に詰まって回答できなくなった。
この討論会の後、民主党支持と中間層の有権者はオズに投票する意志を表わしたことで、ペンシルバニアの上院選挙はオズ優勢と見られている。
詳細は11/2のYoutube張楊チャンネルで語られている。
◆ワシントン州
民主党の牙城であるワシントン州が激戦州の仲間入り、世論調査では民主党のマレイが48%、共和党のスマイリーが46%で僅か2%の差で誤差範囲になっています。
■連邦上院議員
下記の表では州毎に以下の上院議員の議席数を掲載しています。
(現):改選前の政党別議席数
(新):改選される政党別議席数
州 | 状況 | 民主(現) | 共和(現) | 民主(新) | 共和(新) |
AL:アラバマ州 | 2 | 1 | |||
AK:アラスカ州 | 2 | 1 | |||
AZ:アリゾナ州 | 2 | 1 | |||
AR:アーカンソー州 | 2 | 1 | |||
CA:カリフォルニア州 | 2 | 1 | |||
CO:コロラド州 | 2 | 1 | |||
CT:コネチカット州 | 2 | 1 | |||
DE:デラウェア州 | 2 | ||||
FL:フロリダ州 | 2 | 1 | |||
GA:ジョージア州 | 2 | 1 | |||
HI:ハワイ州 | 2 | 1 | |||
ID:アイダホ州 | 2 | 1 | |||
IL:イリノイ州 | 2 | 1 | |||
IN:インディアナ州 | 2 | 1 | |||
IA:アイオワ州 | 2 | 1 | |||
KS:カンザス州 | 2 | 1 | |||
KY:ケンタッキー州 | 2 | 1 | |||
LA:ルイジアナ州 | 2 | 1 | |||
ME:メイン州 | 1 | 1 | |||
MD:メリーランド州 | 2 | 1 | |||
MA:マサチューセッツ州 | 2 | ||||
MI:ミシガン州 | 2 | ||||
MN:ミネソタ州 | 2 | ||||
MS:ミシシッピ州 | 2 | ||||
MO:ミズーリ州 | 2 | 1 | |||
MT:モンタナ州 | 1 | 1 | |||
NE:ネブラスカ州 | 2 | ||||
NV:ネバダ州 | 2 | 1 | |||
NH:ニューハンプシャー州 | 2 | 1 | |||
NJ:ニュージャージー州 | 2 | ||||
NM:ニューメキシコ州 | 2 | ||||
NY:ニューヨーク州 | 2 | 1 | |||
NC:ノースカロライナ州 | 2 | 1 | |||
ND:ノースダコタ州 | 2 | 1 | |||
OH:オハイオ州 | 1 | 1 | 1 | ||
OK:オクラホマ州 | 2 | 1 | |||
OR:オレゴン州 | 2 | 1 | |||
PA:ペンシルベニア州 | 1 | 1 | 1 | ||
RI:ロードアイランド州 | 2 | ||||
SC:サウスカロライナ州 | 2 | 1 | |||
SD:サウスダコタ州 | 2 | 1 | |||
TN:テネシー州 | 2 | ||||
TX:テキサス州 | 2 | ||||
UT:ユタ州 | 2 | 1 | |||
VT:バーモント州 | 2 | 1 | |||
VA:バージニア州 | 2 | ||||
WA:ワシントン州 | 2 | 1 | |||
WV:ウェストバージニア州 | 1 | 1 | |||
WI:ウィスコンシン州 | 1 | 1 | 1 | ||
WY:ワイオミング州 | 2 | ||||
DC:ワシントンD.C. | – | – | – | – | |
全米合計 | 50 | 50 | 14 | 20 |
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