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冬季オリンピック2022/中国の人権弾圧を世界が問題視、各国でボイコット拡大

冬季オリンピック2022/中国の人権弾圧を世界が問題視、各国でボイコット拡大

11月始め、WTA女子テニス選手ペン・シューアイの失踪騒ぎから、再び中国の人権問題がクローズアップされてきた。
シューアイが中共幹部から性的暴行を受けたとして告訴、その直後にシューアイが行方不明となった事件だ。
その後、ペン・シューアイがメディアに顔を出して、中共幹部への告訴と自身の失踪について否定するコメントを出した。
真相は不明のままだが、この事件をきっかけに再びウィグルの人権問題、さらには北京で開催される冬季オリンピックに焦点が向けられてきた。

開催が迫る冬季オリンピックへのボイコットの動きは、各国政府、人権団体、選手の間にも加速する傾向が続いる。
ウィグルでの人権弾圧は、大量虐殺、臓器摘出、強制収容、奴隷労働、女性の強制避妊手術など、人道に反する行為が公然と行われている問題だ。
12月23日には、ウィグル強制労働防止法が制定され、新彊ウィグルからの輸入品は強制労働によるものでないことを証明しなければならなくなった。

かつては、ヒトラー率いるナチスがユダヤ民族に対して、同様の人権弾圧を行った歴史がある。
このような国に、平和の祭典であるオリンピックを開催する資格を与えるべきではないというのが、ボイコットの根底にある。

■各国でボイコットの動き

12/3日、リトアニアが冬季北京オリンピック開催に反対してボイコットの先陣を切った。
ここから、アメリカを中心とするファイブアイズ各国に、ボイコットの流れが広がっていくきっかけとなる。
中国の報復を恐れずボイコットを主導したリトアニアが、小さな大国と呼ばれるゆえんだ。

それに対して、日本は12月の終わりになって、ようやくボイコットを表明。
アメリカと中国の顔色を見ながらの消極的ボイコット表明で、政府代表の替わりに日本オリンピック委員会会長を派遣することが決まった。
各国の様子を見ながら無難な決断を下す日本政府の優柔不断な姿勢は天下一品、わが国ながら何を考えているのか理解に苦しむ。

12月28日現在、外交ボイコットや政府要人を派遣しない方針の国は以下の14カ国となっている。
北米:アメリカ、カナダ
豪州:オーストラリア、ニュージーランド
欧州:イギリス、オーストリア、ベルギー、チェコ、ラトビア、エストニア、リトアニア、コソボ、ドイツ
アジア:日本
その他、カナダ議会の議員13名と政党党首3名、アメリカ上院議員6名が冬季オリンピックの開催地の変更を支持している。

■オリンピック選手からのボイコットの動き

北京冬季オリンピックへのボイコットは、各国選手の間にも波及が始まっている。
元スノーボードのオリンピック選手ドルー・ニールソンは、カナダ代表団に対してボイコットが唯一の道徳的な選択枝であると訴えた。

12月22日、これを受けてカナダ人スノーボード金メダル選手が、ウィグル人権侵害を理由にボイコットの姿勢を表明。

12月23日、人権活動団体は選手が中国政府の人質になるリスクを理由として、選手にオリンピックへの参加を見送るよう要請。

ファーウェイの幹部である猛晩秋がカナダ政府により拘束された後、何も関係のない中国在住のカナダ人が中国政府の報復を受けて死刑判決を受けたことがある。
これは中国政府の常套手段となっている人質外交であり、ボイコットを表明した国の選手達には脅威となる。
北米アイスホッケーリーグ(NFL)は、運営団体と選手の間で合意し、オリンピック不参加を決定した。

■公式スポンサー企業にも批難集中

冬季北京オリンピックの公式スポンサー企業には、人権侵害を問題視して批難が集中している。
人権侵害を犯している中国でオリンピックが開催されることに世論が否定的であり、公式スポンサー企業にも風当たりが強い。
しかも、ウィグル人権問題に触れた企業には中国政府からの制裁が待っているため、スポンサー企業は板挟みとなりデメリットしかないのが現状だ。

スポンサー企業のひとつであるインテックは、自社のホームページを通して、ウィグルで生産された物を一切使用しないよう関連企業へ通達を出した。
これに対して、中国政府から抗議を受けてインテック側が謝罪したと報道されている。
他にもH&Mが中国で不買運動を起こされ、3ヶ月間で80億円の損失を出したという報道もある。

マルコ・ルビオ米上院議員は、スポンサー企業に対してスポンサーから降りるよう忠告している。

ヒューマン・ライツ・ウォッチ(Human Rights Watch)
ニューヨークに本部を置く国際的な人権NGO団体は、世界中の全ての人々の人権を守ることを目的に世界中で活動している団体だ。
ヒューマンライツは、スポンサー企業の立場を利用して、中国で起きている人権問題の解決にどのように貢献できるのか、スポンサー企業に説明を求めている。

CECC(Congressional-Executive Commission on China)は、中国問題に関する超党派の連邦議会政府委員会である。
中国政府の人権侵害に対して、解決に向けた影響力を発揮することをスポンサー企業に要請している。
オリンピックの独占放映権を持つNBCには、中国人権侵害で何が起きているかをオリンピック中継を通して、世界中に拡散するよう要求した。

アメリカは政府、連邦議会を含め超党派で反中国一色に染まっている。
親中派の代表バイデンも反中国政策に舵を切るしか選択の余地がなくなっている。

■まとめ

冬季北京オリンピックの開催に対するボイコットは、あくまで政府代表を北京に派遣しないことに留まり、選手団の派遣を止める全面ボイコットではない。
開催地の変更を求める声もあるが、今の流れからするとこのまま北京で開催されることになる。

あくまでも可能性の問題ではあるが、ボイコットを表明している国の選手は中国政府の標的となる恐れがある。
一旦中国に入ってしまうと、無事に中国を出られる保証がないことはリスク要因となる。
やられたらやり返すのは面子を重視する中国政府の常套手段、中途半端なボイコットがどちらに転ぶか予想ができない。

リスク覚悟で参加するか、無難に参加を見送るか、選手には難しい選択が迫られている。
アメリカの選手に手をだせばアメリカの報復が待っているのは明白だが、日本政府の弱腰外交は折り紙付き
やるならどちらを敵にするかは明白だ。

しかし、人質外交は報復や何らかの要求がを目的とするもので、ボイコット程度で人質外交を駆使するとは思えない。
冬季北京オリンピックは世界が待ち望んだ開催とはならず、唯一IOC(国際オリンピック委員会)に巨額資金が流れるだけだ。

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