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楽天モバイル巨額赤字計上と経営方針がもたらす危機的状況

楽天モバイル巨額赤字計上と経営方針がもたらす危機的状況

4月22日、楽天に対して、改正外為法に基づいて日米政府による共同監視を行うことが発表された。
外為法では、これまで安全保障上の理由から、外国からの出資が10%以上を超える企業を対象としていましたが、改正外為法では、対象が強化され10%から1%に変更されています。
楽天は3月31の年度末に、中国大手IT企業のテンセントから3.65%の出資を受けることになり、この基準に該当する企業となりました。
通販事業では絶好調の楽天ですが、通信事業では苦戦を強いられています。

■楽天モバイル巨額赤字計上

楽天は2020年4月から、約1兆円を投じて携帯電話事業に参入していますが、2021年1~3月期には前年同期比2.7倍となる972億円の巨額赤字が計上されています。
通販事業は好調ですが携帯電話事業はこれからも多額な資金投入が必要とされ、通販事業の利益を通信事業で食い潰していくことが予想されます。
損失の拡大は企業の信用リスクの増大にも繋がるため、資本増強策が必要となってきます。
ソフトバンクでの先例もありますが、楽天でも同じような問題が起こっているということです。

■テンセントとの提携がもたらす危機的状況

テンセントからの出資を受け入れたのも資本増強策の一環となりますが、これが米国からの警戒を招く要因となりました。
テンセントと楽天は、資本提携に留まらず業務提携を含んだ関係になります。
ご存知のようにテンセントは、ファーウェイと同じく中国を代表する大手IT企業で、中国政府との強い関係があります。
米国にとって中国は次世代先端技術分野で覇権を争う最大の脅威であり、ファーウェイやテンセントは主要な標的とされる企業です。
楽天はテンセントとの提携によって一息着ける状態になったかもしれませんが、米国を甘くみていると言わざるを得ません。
日本では楽天の保持する膨大な個人情報がテンセントや中国に流れることを心配する報道が多くみられます。
しかし、個人情報の流出だけであれば米国が関与してくる理由はありません。
トランプ政権時代の2020年に米国国務省は、クリーン・ネットワーク・プログラムという取り組みを始めました。
これは5Gを始めとするネットワーク環境におけるプライバシー、セキュリティー、人権、さらに自由な世界への驚異に対処する取り組みです。
ここに「脅威」という言葉がありますが、これは中国共産党を指すものです。
中国政府ではなく中国共産党としたのは、これまでの米国高官の発言から政府として認めていないことが伺えるためです。
クリーン・ネットワークの定める安全基準を満たしていない企業や団体は、この枠組みから排除されることになります。
これまでソフトバンクはファーウェイとの結びつきが強いため、排除の対象となっていましたが、提携を解消することになりました。
今度は楽天の番になることは明白で、長期的な視野にたたずに目先の問題に対処するために、テンセントに飛びついたのは経営判断の誤りであると認識するべきです。

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