第108回ツールド・フランス(Tour de France)
今年も自転車競技最大のイベント、第108回目のツール・ド・フランスが開催される。
毎年7月上旬から下旬に3週間かけて開催される自転車競技最大のビッグイべントであるが、昨年はコロナの影響で8月に、今年は東京オリンピックの影響で6月23日から開催となる。
過去10年ではイネオス(旧チームスカイ)が7回優勝と圧倒的な強さを誇ってきたが、去年はエースのベルナルが怪我の影響で終盤にリタイア6連勝は叶わなかった。
毎年終盤には予想外の大きなドラマが待っており、2020年は第20ステージでタディ・ボガチャルの大逆転劇で幕を閉じた。
2019年はジュリアン・アラフィリップが、38年ぶりにフランスにマイヨジョーヌを持ち帰ると信じられ、フランス中が熱狂に包まれる中、嵐の影響でレースが中断され逆転劇、一瞬でフランス中を失意のどん底へ叩き落した。
終盤になって勝利を確信したところで不運が起こる、最後にどのようなドラマが待っているか誰にも予想することは出来ないのがツールの醍醐味かも知れない。
勝負を決めるのは終盤2ステージの山岳コース、予想ではここで勝負が決まりそうにも思えるが、予想外の結果も十分可能性がある。
■総合ランキング
総合ランキング | |||||||
順位 | 番号 | 選手 | 1日目 | 2日目 | 3日目 | 4日目 | 5日目 |
1 | 101 | マチュー・ファンデルプール | +00:08 +00:18 |
4:18:30 8:57:25 |
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2 | 51 | ジュリアン・アラフィリップ | 4:39:05 4:38:55 |
+00:08 +00:08 |
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3 | 1 | タディー・ポガチャル | +00:08 +00:16 |
+00:06 +00:13 |
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4 | 11 | プリモシュ・ログリッチ | +00:08 +00:14 |
+00:06 +00:14 |
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20 |
21 |
ゲラント・トーマス |
+00:08 +00:18 |
+00:23 +00:41 |
■歴代優勝選手
歴代優勝者 | |||
開催時期 | 優勝者 | 国 | チーム |
2020 | タディー・ポガチャル(22) | スロベニア | UAEチーム |
2019 | エガン・ベルナル(22) | コロンビア | エネオス(旧スカイ) |
2018 |
ゲラント・トーマス(32) |
イギリス | チームスカイ |
2017 | クリストファー・フルーム(32) | イギリス | チームスカイ |
2016 | クリストファー・フルーム(31) | イギリス | チームスカイ |
2015 | クリストファー・フルーム(30) | イギリス | チームスカイ |
2014 | ヴィンチェンツォ・ニバリ(29) | イタリア | アスタナ |
2013 | クリストファー・フルーム(28) | イギリス | スカイ・プロサイクリング |
2012 | ブラッドリー・ウィギンス(32) | イギリス | スカイ・プロサイクリング |
2011 | カデル・エバンス(34) | オーストラリア | BMCレーシングチーム |
■有力選手
今年の優勝候補予想は今まで以上に難しくなりそうだ。
オールラウンダー中心にはなるがパンチャーなど他の選手にもチャンスがありそうだ。
この後東京オリンピックが控えていて、有力選手の大半がツールドフランスに出場すれば、東京オリンピックに回ったほうが好成績の可能性は高くなる。
そのためか1か月前になっても出場選手の名前がはっきりしていない。
直近2年ではエガン・ベルナル(22)、タディ・ボガチャル(21)と若手選手が何れも終盤で逆転優勝を挙げているのは注目される。
今年も有力な若手選手の活躍には目が離せない。
●イネオス
ツール最強チームのイネオスは、昨年エースのベルナルが途中故障でリタイアして6連覇を阻まれるも選手層の厚さでは他を圧倒している。
ツールドフランスでは4勝を挙げ最多タイ記録を達成、さらにジロ・デ・イタリア、ブエルタ・ア・エスパーニャでも総合優勝を誇るクリス・フルームがイスラエル・スタートアップ・ネイションへ移籍して単独最多記録5勝目を狙う。
今年は2018年のツール覇者ゲラント・トーマスを中心に、2020年のジロ覇者テイオ・ゲイガンハート(イギリス)、2019年ジロ覇者リチャル・カラパス(エクアドル)のエース3人態勢で臨む意向。
2020年のツール個人総合3位のリッチー・ポートも加わり山岳コースのアシストを担当する。
2019年のツール覇者エガン・ベルナルはジロ・デ・イタリア、移籍1年目のアダム・イエーツがブエルタ・ア・エスパーニャへ回る公算。
ベルナルは、昨年の雪辱戦となるが出場しないのは残念。
昨年振るわなかったトーマスが復調、、有力選手も多くアシスト体制も万全、最強チームのエースとして総合優勝を狙う。
●UAE
昨年は第20ステージで誰も予想できないタディ・ボガチャルが大逆転劇で総合優勝をものにした。
同時に最強チームのエネオスの6連覇にスットップをかける結果となった。
今年もボガチャルを中心にツール連覇に臨む。
ボガチャル同様マルク・ヒルシも若手の有望株、昨年ツールの敢闘賞獲得、今年もツール出場が決定した。
●ユンボ・ウィズマ
プリモシュ・ログニッチは、2020年のツールで第9ステージで総合1位に立つと、第19ステージまで総合1位の座をキープ、総合優勝目前の第20ステージでボガチャルに逆転を許した。
2019年にはジュリアン・アラフィリップが第19ステージでベルナルに逆転を許した。
ログニッチは、典型的なオールラウンダーで2年連続世界ランク1位、ブエルタ2連覇中、今年のツールでも総合優勝の有力候補筆頭にあがる選手。
●ドゥクーニング・クイックステップ
2019年のツールでは、第18ステージまでマイヨジョーヌを守ってきたジュリアン・アラフィリップが地元フランスの期待に応えるべく今年のツールに総合優勝を懸けてきた。
2019年のツールでは19ステージの山岳登りで優勝を逃がした経緯があり、今年は体重を大幅に落として山岳コースへの課題を克服するべく対応してきた。
●イスラエル・スタートアップネイション
2019年ツール・ド・フランスの戦勝戦となるクリテリウム・デュ・ドフィネの試走中の落車事故で大怪我を負ったクリストファー・フルームが2020年にイスラエル・スタートアップネイションへ移籍、今年はアシストに回るようだが、再起を賭けてツール5勝目を狙うチャンスがあるかも知れない。
実績では並ぶ者がいないフルーム、参戦する以上は勝機ありと見るが、最強チームからの移籍でどこまで戦えるか。
第108回ツール・ド・フランス2021有力選手 | |
選手 | 主な成績 |
タディー・ポガチャル(22) スロベニア UAEチーム |
2020年ツールドフランス総合優勝 2021年UAEツアー総合優勝 2021年ティレーノ~アドリアティコ優勝 |
マルク・ヒルシ(22) スイス UAEチーム |
2019年ドイツツアー ヤングライダー賞 2020年ツールドフランス区間優勝 |
プリモシュ・ログリッチ(31) スロベニア ユンボ・ウィズマ |
2020年ツールドフランス総合2位 2020年ブエルタ・ア・エスパーニャ総合優勝 2021年イツリア・バスク・カントリー優勝 |
ワウト・ファンアールト ベルギー ユンボ・ウィズマ |
2019年ツールドフランス区間優勝 2020年ツールドフランス区間優勝2回 |
ゲラント・トーマス(34) イギリス イネオス |
2018年ツールドフランス総合優勝 2019年ツールドフランス総合2位 2021年ツールドロマンディ総合優勝 |
リチャル・カラパス(28) エクアドル イネオス |
2019年ジロ・デ・イタリア総合優勝 2020年ブエルタ・ア・エスパーニャ総合2位 |
テイオ・ゲイガンハート(26) イギリス イネオス |
2018年グランツール初出場 2019年ツアー・オブ・ジ・アルプスでプロ初勝利 2020年ジロ・デ・イタリア総合優勝 |
リッチー・ポート(36) オーストラリア イネオス |
2020年ツアー・ダウンアンダー総合優勝 2020年ツールドフランス総合3位 |
ミケル・ランダ(31) スペイン バーレーン・マクラーレン |
2019年ジョロ・デ・イタリア総合4位 2020年ブエルタ・ア・ブルゴス ポイント賞 |
リゴベルト・ウラン(34) コロンビア EFエジュケーション |
2017年ツールドフランス総合2位 2020年ツアー・コロンビア区間優勝 |
エンリク・マス(26) スペイン モビスター |
2018年ブエルタ・ア・エスパーニャ総合2位 2020年ブエルタ・ア・エスパーニャ新人賞 2021年ボルタ・ア・ラ・コムニタ・バレンシアナ 区間優勝 |
サム・ベネット(30) アイルランド ドゥクーニング・クイックステップ |
2018年ジロ・デ・イタリア区間優勝(3回) 2019年ブエルタ・ア・エスパーニャ区間優勝(2回) 2020年ツールドフランス区間優勝(2回) 2020年ブエルタ・ア・エスパーニャ |
ペテル・サガン(31) スロバキア ポーラ・ハンスグローエ |
2019年ツールドフランス区間優勝、ポイント賞7回目(新記録) 2020年ジロ・デ・イタリア区間優勝 2021年ジロ・デ・イタリア区間優勝 |
マッテオ・トレンティン(31) イタリア CCCチーム |
2017年ブエルタ・ア・エスパーニャ区間優勝4回 2018年ヨーロッパ選手権優勝 2019年ツールドフランス区間優勝 |
ナイロ・キンタナ(31) コロンビア アルケア・サムシック |
2013年ツールドフランス総合2位、15年総合2位、16年総合3位 2014年ジロデイタリア総合優勝、17年総合2位 2016年ブエルタ・ア・エスパーニャ総合優勝、19年総合4位 |
クリストファー・フルーム(36) イギリス イスラエル・スタートアップネイション |
2011年、17年ブエルタ・ア・エスパーニャ総合優勝 2013年ツールドフランス総合優勝、15年~17年まで3連覇 2018年ジロ・デ・イタリア総合優勝 |
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